PRESS RELEASE プレスリリース

SDGs特別対談「多様な人々が入り混じって働く職場」

SDGs特別対談「多様な人々が入り混じって働く職場」

※2021年12月に実施しました(感染対策を徹底のうえ、撮影しております)

不動産SHOPナカジツはSDGs目標の1つである「人や国の不平等をなくそう」への取り組みとして、障がいや国籍・性別などで差別せず平等に機会を提供し「多様な人々が入り混じって働く職場」の実現を目指し、ハンディーキャップのある方でもご自身の能力を活かして活躍できる職場づくりを心掛けています。

現在の障がい者雇用では「身体障がい」の方への求人が多く、「知的障がい」の方の求人は少なく中には月1万円で雇用されている方もいらっしゃいます。

「法定雇用率(※)を満たさなくては」という意識から専用の業務を作るなどの対策が一般化しつつある中、
ナカジツでは社会経済を潤沢に回すためにも、彼らを「支援」の対象としてではなく「パートナー」として受け入れ自立できる雇用体系を作っていくべきだと考えています。

(※)全従業員に対して2.3%の障がい者を受け入れるという制度

そこで、障がい者支援のプロである「障がい者支援センター(障がい者みらい創造センター)」の竹内理事長をお招きし、障がい者雇用の現状や企業として何ができるのかなど、SDGs対談を実施いたしました。

■障がい者雇用に取り組む背景と現状
 

北川創一副社長:
ナカジツでは、SDGs宣言の4つの重点領域の一つに「人財の質を高める」という柱を掲げています。「人は財なり」という創業以来の理念をもとに、人材教育に取り組むことはもちろんですが、この領域の中には、「マイノリティグループも働きやすい環境づくり」という意味も含ませています。
そういう意味では、障がい者雇用に対しても使命感を持って取り組んできました。しかし一方で、一生懸命に取り組んではいるものの、なかなか「前進しない」というジレンマや課題感を強く感じおり、自分たちの受け入れ方が悪いのではないかとも感じ始めています。

今回は、障がい者みらい創造センターで理事長を務める竹内亜沙美様に弊社の状況や取り組みをお伝えしながら、ご指摘やアドバイスをいただけたらと思います。
まず弊社の状況について、障がい者雇用に中心的に携わっている人財開発部の矢野周平からお話させていただきます。

矢野周平:
現在ナカジツでは、障がい者雇用に対して「2ヶ年計画」を掲げて推進しています。具体的には2年で10人弱の採用という目標を掲げています。

竹内亜沙美様:
なるほど、2ヶ年という計画的なスパンでの採用活動を始められたところなのですね。
会社全体としては何名の障がい者の方が働いているのですか。

矢野周平:
現在は11人(2021年11月現在)が社員として在籍しています。

竹内亜沙美様:
障がいの種類としては、どのような方がいらっしゃるのでしょうか。

矢野周平:
精神障がいの方と身体障がいの方がいます。ただ、離職してしまうケースもありまして、雇用者数に関しては一進一退の攻防が続いているところです。

竹内亜沙美様:
なるほど。人材の「マッチング」で苦労をされているということですね。
企業様もすごく苦労をしながら取り組んでいると思いますが、それだけではうまくいかないのが障がい者雇用の難しいところです。例えば、「福祉事業所」や「移行支援事業所」の利用した採用活動もおすすめです。福祉事業所からの採用だと、3年間無料で定着支援を受けることができます。課題となっているマッチング面への効果を考えるとかなり大きいかもしれません。そのほかにも厚生労働省が推進する「ジョブコーチ」をはじめ、企業様に中々知られていない政策やフォロー制度が実はたくさんあるので、活用してみるのも良いかもしれません。

私が運営している「障がい者みらい創造センター」も移行支援事業所で、就職を希望する障がい者に対して訓練を実施しています。私達は「就職させて」「定着させて」「辞めさせない」ことで国から評価をいただきます。そのため就職がゴールではなく、その後のアフターフォローにも注力しています。定着するまでの2年~3年間フォローをしていくので、企業側の負担も大きく減るのではないでしょうか。

矢野周平:
就職後まで、親身に面倒を見てもらえるのは、本人にとっても企業にとっても心強いですね。

SDGs特別対談「多様な人々が入り混じって働く職場」

■ナカジツが目指す「多様な人々が入り混じって働くオフィス」

竹内亜沙美様:
ナカジツ様では知的障がい者の採用は行っていますか?

矢野周平:
残念ながら、知的障がいの方は迎え入れることができていません。
受け入れるには、まだ社内環境が追いついていないと感じています。
企業によっては、知的障がいの方を向かい入れるために、本業から離れた「農園ビジネス」を構えるところもありますよね。社会貢献という面ではこの取り組みは非常に素晴らしいと思います。
しかしナカジツとしてはやはり、「障がい者が入り混じって働くオフィス」を目指していきたいと考えているので、受け入れる前に企業側での入念な準備が必要だと感じています。

北川創一副社長:
ナカジツでは、障がい者の方はもちろん、様々な人々が一緒になって“自分らしく”働ける環境、即ち「多様な人々が入り混じって働くオフィス」の実現を人材雇用の大きなテーマとして掲げています。
「“品質向上”のために社会課題にも取り組もう」というロジックが、ナカジツのサステナビリティの根底にあります。この考えでいくと「障がい者も健常者も同じフィールドで品質向上に向けて取り組む」。
これこそが真の意味での弊社のSDGs宣言の達成であり、掲げる人材雇用のテーマの体現につながるのではないかと考えています。

矢野周平:
SDGsの大きなテーマのひとつ、「ダイバーシティ」の観点でいえば、男性・女性、外国人・日本人、そして障がい者もみな等しくあるべきですよね。
「多様な人々が入り混じって働くオフィス」を理想とするナカジツとしては、
障がい者雇用を始めとする全ての採用活動を「同じ様に働きたいが、ステージに立たせてもらえない」という人たちに対してのアプローチの場と位置付けています。

竹内亜沙美様:
「障がい者雇用のために専用の業務を作る」という考えが一般的になっている中、その理念は素晴らしいですね。

北川創一副社長:
ありがとうございます。

弊社では現在、「バックオフィス」の部署での障がい者雇用が大多数です。しかし、現代社会では自動化やIT化が促進しており、事務作業なども人の手から離れていっています。バックオフィスでの作業そのものが減っていく中で、障がい者雇用を推進するために企業としてはどのような対応をとることができるのでしょうか。

竹内亜沙美様:
各社様、様々なアプローチをしています。それこそ専用の仕事を「作っている」企業もあります。先ほど話に出てきた農業の例や、社員向けのプレゼントを制作する部門を設置するなどですね。しかし、それは「同じフィールド」というナカジツさんの理想からは遠いかもしれませんね。

そうすると、「切り出せる」作業をより広く募っていくことが解決策になると考えられます。
一番簡単なのが、「地域の中学生がお仕事体験に来るとしたら、持っている仕事で渡せるものはないですか?」というアンケートを採ってみることです。
そこであがった業務が、担当者の手からも離れやすく、作業のレベル的にも切り出しやすいものです。
あとは、やはり知的障がい者の雇用先となると、掃除の部署が多いです。

例えばナカジツ様では、自社の物件の清掃は外部に依頼されているのでしょうか。

矢野周平:
外部へ依頼していることが多いですが、直近で内覧予定が入れば営業自身で清掃しています。

竹内亜沙美様:
そういった清掃の仕事を請け負う部門を作ったら面白いかもしれないですね。知的障がいの方の中には「掃除が大好き!」って子もいっぱ居るんですよ。
なにより、お客様の目に留まるかどうかが、清掃の仕事にもかかってくるという面では、ナカジツ様の掲げる「品質向上」という目標へのアプローチという意味でも非常に理に適っているかもしれません。

北川創一副社長:
それは非常に良いアイデアだと思います。
「品質向上」という私たちの理念と障がい者雇用への「意義」を高い次元で満たすことができるかもしれません。

SDGs特別対談「多様な人々が入り混じって働く職場」

■これからのナカジツに期待すること

北川創一副社長:
本日は貴重なお時間をいただきまして誠にありがとうございました。障がい者雇用について貴重な意見をいただき、とても有意義な時間となりました。
最後に竹内様からコメントをいただけますか。

竹内亜沙美様:
ナカジツ様が掲げる「同じフィールドを用意する」という考えは、厳しい言い方をすれば企業側からのエゴなのかもしれません。ただ、私は障がい者雇用でもっとも大切なのは「本人たちが望んでいるか」だと考えています。
ナカジツ様の掲げる理想を強く望んでいる人も、障がい者の方々の中にはいっぱいます。逆に言えば、「同じフィールドで働ける会社」というのが今はとても少ないという現実もあります。
ナカジツ様には、「同じフィールド」という理想の実現を突き詰めていき、障がい者の方々にとって、真の意味で「望まれる企業」を目指して欲しいです。

私にできることがあれば、ぜひとも協力させていただきたく思います。
これからのナカジツ様の取り組みを楽しみにしています。

SDGs特別対談「多様な人々が入り混じって働く職場」

■対談ゲストプロフィール

竹内 亜沙美(たけうち あさみ)氏
https://mirasen.org/
特定非営利活動法人 一般社団法人 障がい者みらい創造センター 理事長
大学卒業後、特別支援教育教諭に従事。
教育に携わる中で、知的障がい者の雇用率が低いことや障がい者年金、親亡き後問題など障がい者に関わる社会問題が数多くあることを知り、社会を変えるために
現職の教諭でありながら特定非営利活動法人 障がい者みらい創造センターを設立。
公務員を退職後は障がいがある子供たちに「働く力」を身に付けるみらせんジュニア教室(放課後等デイサービス)と、自立を応援するみらせんステイ(短期入所)を開業。

「多様な人々が入り混じって働くオフィス」実現に向けたその他の活動はこちら↓
外国籍スタッフが活躍する職場づくり

このトピックが目指すSDGs

5 ジェンダー平等を実現しよう 8 働きがいも経済成長も 10 人や国の不平等をなくそう

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