PRESS RELEASE プレスリリース

SDGs特別対談「産廃プロジェクト」

SDGs特別対談「産廃プロジェクト」

【1】産廃プロジェクトへ取り組む背景

山口専務執行役員
SDGsの掲げる17の目標一つに「つくる責任 つかう責任」というものがあります。建築を手掛ける私たちのような企業は、限りある地球の資源に対して、生産や消費の方法をしっかりと考えて、美しい地球を未来につなぐ責任があるということです。
そこで私たちが取り組み始めたのが、企業として産業廃棄物の在り方を見つめ直す、「産廃プロジェクト」です。
今回は、実際に現場でこの産廃プロジェクトに取り組んでいる、分譲部門の山岡真樹部長と、岡崎工事課の植松大現場監督の2人と共に武蔵野大学講師の磯部先生との座談会を進めていきたいと思います。

山岡部長・植松現場監督:
宜しくお願いいたします。

山口専務執行役員:
それでは、まず磯部先生の経歴からお伺いしたいと思います。

磯部先生:
私は東京理科大学の学生として、建築系廃棄物の環境負荷削減の研究を開始しました。その後、東京大学大学院に進学後は国内外の廃棄物処理場を視察して回り、2016年からは武蔵野大学の工学部環境システム学科で「建築」と「環境」の関わりを専門に研究を深めています。

建築業者の行うSDGs宣言において、産業廃棄物に注目したケースは実は多くありません。「ゼロエネルギーハウス」などの派手なコンテンツにフォーカスを当ててしまいがちだからです。

しかし、産業廃棄物は持続可能な社会の実現において非常に重要なファクターであると言えます。そういう意味では、山口様のお話を伺ってナカジツ様は非常にいい着眼点を持っていると感じました。

山口専務執行役員:
嬉しいお言葉ありがとうございます。
現在、ナカジツでは大きく分けて「新築」と「リフォーム」という2つの建築を行ってきました。産廃プロジェクトについても、この2つ事業を跨いで推進しています。
具体的は取り組みについては、実際に現場で指揮を執っている山岡部長に説明してもらおうと思います。

SDGs特別対談「産廃プロジェクト」

【2】産廃プロジェクトとサステナビリティの繋がり

山岡部長:
私たちは、産廃プロジェクトに取り組むにあたって、まず「産廃量の正確な把握」、「集積及び回収方法の見直し」、「工程管理」の3点を重点項目に定めました。
新築物件や、マンションをリフォームするのにどれほどのゴミが排出されるのか、どの種類の工事でどれだけのゴミが発生するのかという正確な量を把握し、そのゴミを業者が回収する回数や、集積の方法、運ばれる処分先といった、廃棄物の動きを確認して見直しに着手。
そして、ゴミの量や動きの正確な把握ができるようになれば、「ゴミという観点」から作業工程の改善ができるのではないかと考えました。

磯部先生:
まずは、産業廃棄物の「可視化」を行い、状態を測る「インジケータ」として作業改善に生かしていこうとしたわけですね。

山岡部長:
特に可視化という点においては、実際にゴミ処理の現場を見せてもらうなどの視察を重ねました。そこで目にしたのは、建設現場のゴミのほとんどが「混載」されて分別されていないという現実です。処理場で10人ぐらいの作業者が手作業で仕訳けているのを目にしたときは涙が出そうな気持ちになり、なによりまずは「分別」を徹底しなければと強く感じました。

早速、社内でも分別の必要性を説いて回りました。ただ「分別をしなさい」と注文するのではなく、「なぜ分別が必要なのか」という理由を自分の見てきた真実と共に根気強く伝えることで、職人さんからも理解を得られることができました。
実際に各現場の分別の意識は著しく向上しており、現在ではかなり厳密な分別が実施されています。中間処理業者さんからは、「ナカジツさん、ここまでやるんですか」と驚きの声を頂けるほどになっています。

磯部先生:
実際の現場を視察することで分別への問題意識を持ち、その想いと分別すべき理由をしっかりと説明することで現場が変わってきているのですね。

山岡部長:
同時に集積方法も見直しを進めています。今までは、「大きい」や「長い」状態でゴミを回収していたので、無駄なスペースが生まれていました。木材を細かく切断して捨てるなど、無駄の少ない集積を現場で心掛けた結果、収集回数の削減につなげることができました。さらにコスト削減という効果も生み出し、約3万円も集積コストが減ったという報告も受けています。
その他にもゴミの保管方法の見直しや、運搬回数の見直し、処分業者の選定など、様々な観点から産廃プロジェクトを推進しています。

山口専務執行役員:
現場での積極的なプロジェクトの推進にこれからも期待しています。

SDGs特別対談「産廃プロジェクト」

【3】産廃プロジェクトのこれまでと今後

山口専務執行役員:
植松現場監督は、産廃プロジェクトにどのように取り組んできましたか。

植松現場監督:
今お話に出ていたように、分別への意識は本当に大きく変わってきています。同時に、現場では私たち現場監督が職人さんたちの「これってどうやって捨てればいいのか」という質問に正確に答えなければなりません。私たちが「分からない」と言ってしまっては、現場での産廃プロジェクトへの熱量は途端に無くなってしまうと思います。責任を持って産業廃棄物についての勉強を深めています。

山口専務執行役員:
現場で実際に指示をする立場として、正確な知識を蓄えているということですね。

植松現場監督:
ときには、回収されるゴミ箱の中身をひっくり返して中身を検証したこともあります。勉強の意味で実行したのですが、それ以上に職人さんに対して、私たちが“どれほど本気でゴミ問題に取り組んでいるのか”という姿勢も示すことができたと思っています。

磯部先生:
実際の建築の現場のゴミの中身を調べるのは面白い取り組みですね。大学の研究者としても非常に興味深いです。

山口専務執行役員:
興味を持って頂いて嬉しいです。彼らが現場で集めてきたデータを研究材料に生かして頂けますと光栄です。
磯部先生から見て、彼らの取り組みはどのように見えましたか。

磯部先生:
重要項目を設定して、そこにアプローチをするため現場が責任を持って行動していく。ここまで主体的に社員が動くことができるのは、ナカジツ様が掲げるSDGs宣言を一人ひとりが高いレベルで理解しているからではないかと感じました。
同時に、ここからプロジェクトをどう進化させるかというところが大切になってくると思います。

山口専務執行役員:
磯部先生からみて、今後この産廃プロジェクトはどのように発展させることができると思いますか。

磯部先生:
例えばですが、職人さんは「いかにいいものを早く作るか」というのがモチベーションであり作業に集中したいから、ゴミの分別を手間だと考え嫌がるのだと思います。
しかし、そのような気質の方が多い中で、ナカジツ様では根気強く分別の必要性を説き、実際に成果が表れ始めています。
しっかりとゴミが分別されるようになって、現場自体がすごく綺麗になったのではないでしょうか。

植松現場監督:
それは確かにありますね。ゴミの分別を徹底することで、付随する形で整理整頓された現場になってきていると思います。

磯部先生:
それらを「見せられる現場」というネーミングでポイントとして押し出してもいいのではないでしょうか。
従来の現場では完成した建物自体は綺麗ですが、建設現場は混沌としていて見せられないという所も多いと思います。その点、今のナカジツ様は「いつでも現場を見てもらっていいですよ」と言い切れる。これは大きな武器になるのではないでしょうか。

山口専務執行役員:
なるほど産廃プロジェクトの成果を「自社の強み」に昇華するということですね。
ナカジツには、IT戦略課という部門があります。「見せられる現場」というお話がありましたが、実は工事中の様子を配信するアプリの制作が実際に進行しています。今後の発表を楽しみにしていてください。
産廃プロジェクトによって綺麗になった現場を多くの方に見て頂ける機会が生まれるかもしれません。

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【4】まとめ

山口専務執行役員:
そろそろ時間となってきましたので、まとめに入っていきたいと思います。
座談会を通しての感想と、今後の産廃プロジェクトへの意気込みを現場2人からどうぞ。

山岡部長:
磯部先生から専門的な視点での貴重な言葉を頂けましたので、今日の経験を生かして産廃プロジェクトの更なる発展に貢献していきたいと思います。

植松現場監督:
私は、産廃プロジェクトはコストや現場の美化といったメリットももちろんですが、ゴミ問題を通して、現場監督と職人さんがより強いコミュニケーションを構築できたと感じています。今後も、職人さんと足並みをそろえて産廃プロジェクトに携わっていきたいと思います。

山口専務執行役員:
磯部先生からも一言頂けますでしょうか。

磯部先生:
SDGsの一つのゴールが2030年です。この数年後の未来に向かって「どういう企業でありたいか」、「どのような価値を社会に提供していきたいか」という明確な視野を持つことができていれば、産廃プロジェクトの今後の位置付けをしっかりと描いていただけると思います。
そして私自身まだまだ勉強不足ですが、建築と環境について、ナカジツ様のみなさんとディスカッションしながら、「未来の建築」について考えていければと思います。

山口専務執行役員:
磯部先生、本日はありがとうございました。
ナカジツは平均年齢が26歳ととても若い会社です。これらの若者の未来のためにも社を挙げて廃棄物問題ももちろん、様々な観点から持続可能な社会の形成に寄与していきたいと考えています。
ぜひこれからも磯部先生からのご指南をいただきながら、建築業界の未来を共に歩んでいければと思います。

このトピックが目指すSDGs

11 住み続けられるまちづくりを 12 つくる責任 つかう責任

このトピックが属するナカジツの重点領域