NEWS & TOPICS ニュース&トピックス

第4回 SDGs特別対談「建築業界のサステナビリティ」

第4回 SDGs特別対談「建築業界のサステナビリティ」

山口専務執行役員、長井様(カノム様)

※こちらは3月に実施しました

建築業界のサステナビリティ

第4回 SDGs特別対談「建築業界のサステナビリティ」

山口専務執行役員:
ナカジツの掲げるSDGs宣言では、4つの領域「人財・働きがい・サービス・未来への投資」を重点項目としています。その全てにかかわってくるのが「品質」です。つまり、あらゆる事業における「品質向上」こそが、ナカジツの目指すSDGsの根本となります。

住宅の欠陥調査や紛争問題解決を手掛けるカノムの代表を務める長井様は、住宅の品質向上にはどのような効果があると思いますか。

長井様:
ナカジツ様のような不動産を扱う企業が「品質向上」というテーマを掲げることは、顧客満足以外にも、実は社会貢献という面でも影響が大きいと思います。

山口専務執行役員:
住宅の品質を高めることが、社会貢献にもつながるということですか。

長井様:
その通りです。例えば、現在日本が抱える社会問題の一つが「空き家問題」です。

従来の住宅は時間の経過とともに老朽化が進み、不具合も多く発生するようになります。

そのため日本では中古住宅より新築を希望する方が圧倒的に多く、空き家の増加に繋がっています。しかし、住宅の品質が高まり長く住めるようになれば、この社会問題の改善への大きな一手となります。古くなったものを捨てて、新しいものに財を投じていく「作っては壊す街づくり」のサイクルを改め、限りある資源を大切にする「住み続けられる街」を目指していくべきだと私は考えます。そのためにもナカジツ様には、100年後でも問題なく使えるような高品質の住宅を作っていただきたいです。

品質チェックは“最後の砦“

第4回 SDGs特別対談「建築業界のサステナビリティ」

山口専務執行役員:
自社の取り組みが周り回って、社会貢献につながるというのは身が引き締まる思いです。

ナカジツでは、高品質の住宅づくりを推進するために3つの姿勢を大切にしています。

  1. 【お客様ファーストで考える】
    住宅メーカーは、作業効率やコストを優先する姿勢に偏ってしまう傾向にあります。しかしそればかりでは、真の意味でお客様の期待に応えた住宅づくりは実現できません。「お客様のために」「自分がお客様だったら…」という気持ちを忘れず、いつでもお客様の生活に寄り添った姿勢で取り組んでいきます。
  2. 【職人さん・現場監督さんの腕をあげる】
    住宅は、工場などの生産ラインで行われるものづくりとは違い、外部環境が変化する中で建築します。そのため、より職人さんの知識や技術が求められると言われています。高品質の住宅づくりを行うには、マニュアルの周知徹底や研修制度などを充実させて、知識や腕を上げることが必須です。
  3. 【検査の質をあげる】
    工事や仕上がりに問題が無いかを最終的に正しく判断する検査の目がなければ、住宅の品質は上がっていきません。会社としてもより高レベルな検査の実施を目指して、住宅検査の専門家である長井様からもアドバイスをいただいております。

この3点を重点的に取り組むことで品質向上を図っています。

建築業界における「人材の育成」

第4回 SDGs特別対談「建築業界のサステナビリティ」

山口専務執行役員:
検査の専門家として、多くの住宅会社との取引がある長井様からみて、企業は住宅の品質向上についてどのように取り組んでいく必要があると感じていますか。

長井様:
山口様がおっしゃるように「職人さん・現場監督さんのスキル」というのは、やはり大切であり、ほとんどの企業が力を入れていると思います。

同様に不備を見つけ、瀬戸際で欠陥を防ぐ検査も品質向上の大切な要素です。しかし検査に力を入れている企業は、実は多くありません。以前、住宅メーカーがどのように検査をしているか聞き込みをしたことがありますが、「現場監督が現場作業の片手間でこなしている」、「外注の検査機関に委託して、自社では全く検査をしない」という声が多くありました。こうした意識では、検査が形式的なものになってしまい、品質向上につなげられているとは言い難いです。その点、ナカジツ様の検査の本質を理解して注力する姿勢は素晴らしいと思います。

山口専務執行役員:
ナカジツでは一年前に専門部署として、品質管理課を創設しました。現場監督と職人だけのチェックに留めず、検査の専任者として品質チェックを行うことは、工事ミスを見逃さないための「最後の砦」と言えます。例えどれだけ品質に自信があり、優れた実績を持つ企業だとしても、1つの施工不良が発覚するだけで、会社全体の信頼は喪失してしまいます。一つの誤りが大きな問題につながることをしっかりと認識して、企業として、作り手として真摯に取り組むことが大切だと考えています。

こうした物事の真意を理解できる人財を増やしていくというのは、ナカジツが掲げるSDGsの領域「人財の質を高める」という考えにもつながっていると思います。

長井様は、現在の建設業界の人材育成や、問題点についてどうお考えでしょうか。

長井様:
建設業界全体でいえば、「若者の人材不足」という大きな問題を抱えていると思います。

労働時間の長さや、休日の少なさなどから学生が建設業を避けている傾向にあり、仮に就職したとしても離職率がとても高いのが実情です。

また、若手の現場監督さんに話を伺ってみると「同じ作業の繰り返しで先が見えない…」という労働条件以外の問題を抱えているケースも多くあります。

労働条件の改善はもちろんですが、スキルアップや目標設定など「やりがい」というものを考える必要があるかもしれません。

SDGs宣言において「働きがいを追求する」という重点領域を掲げるナカジツ様では、やりがいという面にどのように取り組まれていますか。

山口専務執行役員:

実は、ナカジツの離職率は業界平均の半分以下となっています。。新築という仕事は同じような住宅をずっと作っていると思われがちですが、それは実は凄く浅い目線の話で、仕事というのは深く掘るほど新しいものが見えてきます。そして知識の幅が広がるほど、その掘り起こすゾーンも広がります。こうしたマインドを持つことができればきっと仕事は楽しくなるはずです。

アクションプランや教育制度、日々のタスクや報告など仕事に関して「どうせやるならおもしろく」ということを大切にしています。仕事に対して、“楽しさ”や“ワクワク感”を持って取り組んでいく雰囲気をうまく作っていくことが、ナカジツの人財育成の強みになっているのではないかと思います。

長井様:

確かにナカジツ様の社員の方々は、仕事に対してあらゆることに強い興味を持っているという印象があります。いろいろな企業の建設現場にいきますが、ナカジツ様の現場では、ひときわ熱心に質問を受けることが多いです。純粋な知識欲はもちろん、いろいろなことを貪欲に吸収して、自分でスキルアップをしようという意識が高いのではないかと感じています。

企業と職人の労働環境のギャップ

第4回 SDGs特別対談「建築業界のサステナビリティ」

長井様:
労働環境や労働条件という面では何か取り組みはされていますか。

山口専務執行役員:
社員の「働きやすさ」と「やりがい」の向上を目指すナカジツとしては近い将来、現場への「週休2日制」の導入を考えています。

しかし、休暇制度に関しては企業主体で進めても、現場の方々から工程の遅れや、収入の不安から「出勤させてほしい」という要望が上がるケースが多いです。制度の見直しを図るには、まずは現場で働く職人さんの待遇から大きく考え直すべきかもしれません。

現在、現場で働く職人さんの1/4余りが60歳以上の高齢者になっているのが建設業界の実情です。業界全体の未来のためにも一刻も早く、若い人達が建設現場で働きたいと思えるような、キャリアパスの仕組みや労働環境を整えていく必要を強く感じています。

職人の皆様は個人で経営されている方も多く、客観的にスキルを図る機会が少なくキャリアパスを描きにくいことがあります。

ナカジツでは職人の皆様にグレード制を設け、ご本人にも結果を開示することでスキルの見える化を図り、スキルアップを図る際の基準にしていただいております。

また、受発注処理をIT化することで業務効率化を進め双方にとってメリットのある取り組みを導入しています。

最後になってしまいますが、住宅検査や品質管理などの面でお仕事をご一緒させていただいている長井様から、今後のナカジツへのメッセージがあればいただきたいと思います。

長井様:
数年お付き合いさせていただく中で感じるのは、検査に対する意識の著しい向上です。社内検査のレベルでいえば、大手住宅会社と比べても非常に高いレベルにあると思います。

本日お話を伺う中で、これら検査への意識は「仕事を楽しみ、知識を貪欲に吸収しよう」という社風の中で、社員の方々が、検査の必要性の本質を捉えているからこそなのだと納得することができました。

ナカジツ様は注文住宅、分譲、リフォームと総合的に住宅事業に携わっています。その全てにおいて質の高い検査をしてもらうことで、今後ナカジツ様の高い検査水準が住宅業界のあらゆるスタンダードになるような、そんなところまで業界をけん引していってほしいとエールを送らせていただきます。